1.開催日時
2020年10月
※新型コロナウイルス感染症に配慮し、今回は番組視聴DVDを委員に送付し
書面で意見を募る形で開催。
2.参加委員(敬称略)
委員長
長尾治明 (富山国際大学 現代社会学部名誉教授)
副委員長
加藤泰喜(富山商工会議所企画総務部 部長)
委員
岡本由紀恵(富山市企画管理部広報課 課長)
島川智子(株式会社島川 取締役)
武内孝憲(株式会社牛島屋 代表取締役社長)
原井紗友里(株式会社Oz Links 代表取締役)
舟本幸人(一般社団法人富山県芸術文化協会 副会長専務理事)
水上庄子(富山ユネスコ協会 副会長)
3.議題
(1)2020年度 上期の自主制作番組について
(2)番組視聴、審議
日本ケーブルテレビ連盟番組アワード奨励賞 受賞2作品
「富山を釣る ~ホタルイカパターン~」
「クロスロード~人生と車の交差点 #5 愛しのマイ・フェアレディ。春のスパイシードライブ」
4.審議
■釣り初心者のリポーターが富山湾で釣りに挑戦し、さらに釣り上げた魚を調理して味わうことで釣りの楽しさ、魅力を伝える番組「富山を釣る」について
・全体的にきれいな映像だった。とりわけホタルイカの身投げのシーンがよかった。多くの人がホタルイカを掬(すく)っている場面は、ほのぼのとした印象を受けた。これらの映像をとおして、釣り好きでない人にも受け入れやすい番組になっていたと思う。
・富山県が誇る富山湾を舞台に制作されたこの作品は内容が充実していた。国の特別天然記念物に指定されているホタルイカを「釣る」ということに、視聴者は最初、興味・関心をもちつつ疑問も抱いていたのではないか。視聴していくうちにホタルイカを釣るのではなく、ホタルイカを求めてやってくる魚を釣るということが分かり納得する。作品のタイトルがよかった。
・釣りに適した気象条件や釣り用具が画面上に文字と実物を映して分かりやすいよう工夫されていた。聴覚に障害のある人だけでなく、一般の人にも分かりやすく釣りに挑戦しようとする際の助けになる。
・途中で夜の海でのホタルイカすくいの様子を挿入したことで、作品にメリハリができてよかった。昼間の青々とした空と海の見える風景に対して夜の暗闇の中に点々とした明かりが見える幻想的な風景を映すことで、富山湾の魅力を十分発信できたと思う。
・富山ではホタルイカはとても有名であり、ホタルイカ掬いにも行った経験があったが、そのホタルイカを狙って魚が集まるという話は初めて知った。釣り名人のアドバイスで、すぐに釣り上げるところが驚きだった。富山湾の魚種の多さにも驚かされた。
・この番組をとおして、自分でも釣れるのではないかと錯覚し、すぐにも行きたくなったほどだった。富山湾の魅力が満載だった。
・とても楽しい番組だった。釣りを体験したことがなかったが、必要な道具や釣り方など、とても分かりやすく、一度やってみたいと思わせてくれる番組になっていた。ホタルイカを食べにくる魚を狙う釣り方を初めて知った。
・釣りの知識はなかったが、楽しく見た。釣りのポイントや道具の説明をあり、自分も釣りを始めたいという気持ちになった。ホタルイカ掬いも一度どんな光景なのか見てみたかったので、番組をとおして見られてよかった。
・何となく見た視聴者もチャンネルを変えることはないと思われるほど、ひきつけられる番組だった。釣り人に女性を入れたのがよかった。
・制作では夜中の収録が続き、スタッフもご苦労されたと思う。日本ケーブルテレビ連盟の番組アワード受賞は、富山湾の豊かさを知ってもらい、スタッフの労に報いる意味でもよかったと思う。
・2人のリポーターが魚を釣り上げた時や観光客がホタルイカをすくい上げた時の喜びの表情を大きく映し出され、視聴者も喜びを共有できた。
・県外の観光客へのインタビューは、ホタルイカ観光の情報を知るうえで参考になることがあったのではないか。ホタルイカや釣った魚は地元ならではの調理方法で紹介され、観光客の誘致に貢献している。
・世界でもっとも美しい湾クラブに加盟するための条件の一つに「周辺地域に経済発展の滞在性」がある。それに合致するいい作品だと思う。
・富山らしいタイトルで、興味・関心が持てた。「釣る」というタイトルと、竿で釣る練習の映像が初めの方に出てきたので、実際にホタルイカを釣ることもできるのかと思って、最後まで期待しながら見た。
・「ホタルイカパターン」の言葉の意味も良く分からなかったが、見終わって、ホタルイカを食べにくる魚(クロダイ、ソイ、カサゴ、スズキ)を狙って釣ることだということが理解できた。できれば、ホタルイカとそれらの魚との関係性について説明があると、話題性の提供になり、視聴者にとって一段と興味が持てるのではないかと思う。
・番組が釣りの初心者向けにも制作されているならば、思い切って視聴者参加型番組にして、参加者自身が体験した内容を放送した方が視聴者の視線で釣りの面白みや楽しさを共感することができるのではないか。調理・試食においても、視聴者を巻き込んだ番組内容にした方が視聴率の向上や話題性、生の提供につながると思う。
・釣り初心者には船を出して仕掛けを準備しての釣りは、ハードルが高くなる。上級者向けもいいが、釣りをしない人も簡単に体験できることを伝えるコーナーがあってもいいのではないか。
・掬ったホタルイカを餌にして魚を釣るわけでもなく、釣りを始めようと思う人にとっては、これに費やされた時間が長く、ストーリー的にもどうかと思った。
・夜釣りの撮影のカメラ台数が少ないのではと思った。真っ暗な中で、離れた所で釣り人が釣れたと言っても、どうやって釣り上げたのか分からなかった。視聴者としては、どのように釣れたのか、初心者と何が違うのか見たいと思った。例えば、頻繁にポイントを変えたとか、リールの巻き方に工夫があったとかなど知りたかった。このような視点も取り入れてほしい。
・釣り上げた魚の試食はすべて刺し身だった。煮魚など、もう少し料理にバリエーションがあった方がいいのではないかと思った。
・今回は釣り上げた魚の調理を鮮魚店にお願いしていた。その時々に応じた魚のさばき方や料理のヒントがあれば、なおいいと思われた。
・欲を言えば、バックに流れる音楽の音量と選曲に工夫が必要ではないか。
■様々な名車が登場し、富山のロケーションとあわせて「クルマの魅力」を高精細な映像で伝える番組「クロスロード~人生と車の交差点」について
・古い名車を乗りこなして、富山の道を快走する気持ちよさが伝わってきた。スタッフがこだわるBGMも心地よく耳に入ってきた。また、クロストークもこだわりの車に関する貴重な話が聞けて、楽しい時間だった。
・大変特徴のある番組だと思う。音楽しかり、富山の風景しかり、「ハートカクテル」や「ジェットストリーム」を思わせるナレーションしかりで、楽しみどころがいろいろあると思う。このように車というモノ(メカニック)にフォーカスして、少しマニアックな特徴のある方が、番組としては面白いと思う。
・今回は、フェアレディとロータスヨーロッパ。それぞれで番組ができそうな、ちょっと盛りだくさんの感じがあった。もう少し車自体のヒストリーやサイドストーリーなどあれば興味を持てるかもしれない。個人的には「サラメシ」(NHK)のように「あの有名人が愛した〇〇(車)」といった、小ネタも楽しそうかなとも思われた。トヨタが展開している、車とそこにまつわる人の思いみたいな話もエモーショナルでいいと思う。
・車がたどったルートについて、もう少しわかりやすいマップ(位置関係)になればいいのではないかと思う。
・クロスロードはファンが多い。続けてほしい。
・地元愛、地場産業の育成という観点から、国内10番目の公認自動車メーカーの光岡自動車の車を主人公にしてほしい。
■その他の制作活動、要望など
・新型コロナウイルス感染症の感染拡大に伴い、番組制作は難しかったと思うが、その中で生みだされた番組制作の方法(リモート撮影など)は、今後も効果的に活用してほしい。
・コロナウイルス感染症のように視聴者の関心度の高い事柄については、今回の実績に基づいて、今後の生中継に生かしてほしい。
・「おわらアーカイブ」は放送時期、放送内容ともすばらしかった。今年、生中継された花火イベントを「花火アーカイブ」として制作し、適切な時期に放送してほしい。
・最近「新プライド」について意見を聞くことが多くなった。もちろん概ね好意的な意見だ。このようにドラマ仕立てで一人の職人・匠を視聴できるというのは、地元に対する理解も深まり、愛着も湧く。
・前回審議会の「委員からの主な意見・要望」に対する回答内容をみると「放送しました」という説明が多く、好ましいことであるが、見方を変えると「視聴率が低い」という受け止め方もできる。せっかく視聴者のニーズを捉えた番組制作をして放送しても、視聴率が低いことは残念なことである。視聴率の向上については、放送業界の宿命であり使命でもあるが、今後の本格的な5Gの到来を考えると、ケーブルテレビ富山としての見逃し番組・再放送への対応の考え方や方法等について、ケーブルテレビユーザーに対して明確に説明をして、ユーザーが視聴したいときに視聴できる環境を今後どのようにつくっていくか「会社の方針・ビジョン」を明確に打ち出していく段階に来ているのではないかと考える。またそのことが、ケーブルテレビ富山は今後も期待できるという信頼感・安心感を醸成していくことにつながると思う。
・今、オンデマンドのテレビチャンネルが乱立し、海外のサブスクリプションプログラムもコロナの巣ごもりによって契約数が伸びている。You Tube に代表される「動画配信=個人が番組プロデュースをして配信できる」環境がある中で、ローカルテレビ局の差別化が難しいのではないかと思う。また、Zoomのような双方向のチャンネルも一気に存在感を増している。5Gの時代に「市民放送局」として愛される存在として認知されるよう願っている。そのためには、地域の学校や公民館など、教育分野との連携、参加型の番組構成、地域の芸術文化を発信し、より地域性・地方性が深くなることや、しきたりや風習、方言、地域の歴史など、薄らいでいく地方の特徴を映像や番組として残していってほしいと思う。
・「おわら風の盆」のアーカイブがよかった。今年はおわら風の盆がなく寂しく感じていたが、過去の映像をゆっくり見ることができた。今とは違った風景も見られて興味深かった。地元の人たちも喜んでいたと思う。貴重なVTRであり、ライブラリーで貸し出すなど活用方法を検討してほしい。
・市民にとって身近で、他府県にあまりない話題にスポットを当てた番組制作に取り組んでほしい。
・八尾の「越中八尾おわら風の盆」以外にも「こきりこ」(南砺市)ほか、伝統的な祭りを他局と連携するなどして放送してほしい。
・山から川、そして海への道すがら、その川に沿った地域の歴史や景色、草花など、富山にしかない映像(物語)を見てみたい。
・ケーブルテレビ富山のフィールドとして、富山市が中心になっていることをあらためて感じている。富山市にとってエポックメーキングとなった富山駅路面電車南北接続事業について、開業イベントの生中継放送は市民にとってもよかった。
・「ガラスのまち」や「音楽が盛んなまち」「美味しいまち」などの視点で、富山ならではの取材を今後とも楽しみにしたい。
・とやま観光をする半日、1日プランの紹介番組があればと思う。経済同友会で「大人の遠足」とうい企画があった。公共交通機関だけを利用し、どんな観光ができるか実際に行っていた。半日でもさまざまなコースが提案できる。そんな番組があればいいと思う。
・幼稚園・保育所を選ぶ参考となるような子育て番組を見てみたい。県内で親子が楽しめる休日の過ごし方も紹介してほしい。情報は探せるがメディアの公平性を保ちながら、子育てセンター情報などを紹介してほしい。
以上